夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

夢のいたずらの新着ブログ記事

  • SLと笠谷

     先月、1972年の札幌冬季オリンピック、スキー70メートル級ジャンプで金メダルを獲得した笠谷幸生さんが亡くなりました。 「そういえば、ずっと前に笠谷選手のことを書いたことがあった」  と思い探してみたら、ありました。2003年3月23日の日記です。  1972年2月11日、札幌オリンピックでスキ... 続きをみる

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  • 糖分は控え目に

    1, 自慰眠酒糖だとか、利権眠酒糖だとか、 小梅糖だとか、狐狗狸眠酒糖だとか、 強酸糖だとか、三味線糖だとか、 糖分表示のない糖だとか、 この体の中にはいくつかの 糖分があるわけでありまして、 その糖分が微妙に絡み合って 体を蝕み、虚弱体質を 作っているのであります。 これから先、よほどのことがな... 続きをみる

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  • 気になる言葉

    (1)  最近気になる言葉があって、それがことあるごとにぼくの頭の中をよぎっていく。どんな言葉なのかというと、「ゆっくり、ゆっくり」だ。  どういう意図があって、こういう言葉がよぎるのだろう?焦っている自分を戒めているのだろうか。  そういえば、その言葉が頭の中をよぎる時は、決まって緊張感が漂って... 続きをみる

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  • 田んぼの中の家

    小学生の頃、 どこまでも広がる一面の田んぼの中に 友だちの家があった。 夏の暑い日、 友だちの家の庭に巣くっていた アリジゴクを観察しに行ったり、 冬の寒い日、 グリコアーモンドチョコレートの懸賞賞品だった 「おしゃべり九官鳥」を見せてもらいに行ったり、 数々の思い出の中に 田んぼの中のその家は登... 続きをみる

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  • うちの嫁さんはインコ顔

    1, うちの嫁さんは猫が大嫌いだ。 猫が大好きなぼくからすれば なんで嫌うのかがわからない。 一体猫のどこが嫌いなのかと とある日嫁さんに聞いてみた。 すると嫁さんは怯えた顔して 猫のあの顔が怖いのだと言う。 意地悪そうな目も怖いのだと。 あの顔のどこが怖いのだろう。 トラやライオンとくらべると ... 続きをみる

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  • 迷惑アイテム

    一般的には何と言うんですかね、 デパートのトイレの手洗い場などにある 手を入れるとシューと風が吹いて乾かす アレですよ、アレ。実は、ぼくは アレをうまく使いきらんのです。 いちおう手を入れてシューシューと やってはみるんだけど、一度も 手が乾いたためしがない。 だいたいアレは温風が出る物でしょう?... 続きをみる

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  • 流れ

    好きな言葉の一つに「流れ」がある。 昔ある問題を抱えていたことがあって、 何をやってもなかなか解決しようとしない。 そういう時に読んだ本が 老子であったり禅書であったりしたのだが、 こうなりゃどうにでもなれという気持ちで、 そこに書いてあった「流れ」というものに任せ、 慌てず、力まず、来るもの拒ま... 続きをみる

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  • 昔書いた時事ネタ

     以前はぼくも時事ネタを書いていたのだが、ある時期から新聞を読むのが面倒になり、段々そういうネタから遠ざかっていた。  昔投稿したものや、ノートに書いていたものを拾ってみました。 今年の夏を統括する -日本というのは、  ユーラシア大陸の  東側に浮かぶ島国で、  宇宙人が支配している。  友愛を... 続きをみる

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  • ゴールデンウィーク

     毎年のことなのだが、ゴールデンウィークは一応稼ぎ時だということで、なかなか休みが取れない。正月も盆も同じだ。さらに、土日祝祭日もなかなか休みが取れない。これが流通業の宿命だといえる。  まあ、若い頃の就職の条件が、『人が働いている時に休みたい』だったから、希望通りになっているわけだ。  就職の条... 続きをみる

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  • イメージ

     うちの駐車場に数匹のネコがいる。ペット禁止のマンションなので、もちろん彼らはノラである。  ところが誰も彼らには餌を与えてないはずなのに、彼らは一様に人懐っこい。そこに住んでいる常連さんはもちろん、営業でやって来る一見さんを見ても逃げようとはしない。  きっと何かを期待して愛想を振りまいているの... 続きをみる

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  • 犬のウンチを踏んだ日の人生

    基本は土を踏むのと何ら変わらないのですが、 それを踏んだとたん、 それまでの環境が一変してしまうものなのです。 そのことを見聞きした友だちからは馬鹿にされ、 あげくに好きなあの子に暴露され、 ついには変なあだ名をつけられるのではないか… といらぬ心配をしなければならなくなるのです。 元はといえばあ... 続きをみる

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  • ♪ためいき

    ためいき 新谷 雅先 · ためいき さりげないためいきやめて 今日から真面目にやっていくんだ 昨日吐いたあの言葉に 嘘や偽りはないんだから そしていつか見返してやるんだ あいつも、あいつも、みんなまとめて あの日のぼくは正しかったんだと それがぼくの人生だったと  もう振り返らない 風は追い風だ ... 続きをみる

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  • 寂しい駅前通り

     駅前商店街が駄目になった原因の一つに、車社会の到来が読めなかったということがある。  特急の停まるJRの駅があり、そこに隣接する大きなバスセンターがあり、その中には私鉄の始発駅がある。しかも人口は多い。  ということで、駅前で商売する人は、永遠に繁栄が続くものだと思っていた。  ところが車社会の... 続きをみる

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  • 人間関係

    今日会った彼女とは、行きつけの 飲み屋が同じというくらいの仲で 飲み屋が同じというだけで話が盛り上がった。 とはいえ店で会ったことはない。 昨日会った彼とは、共通の 知り合いがいるくらいの仲で いつも挨拶代わりに共通の知人の話題が出る。 とはいえ三人揃って会ったことはない。 一昨日会った知人とは、... 続きをみる

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  • 二人はよろめいているの

    中学の頃に見た『おさな妻』というドラマの中に 「二人はよろめいてるの」というセリフがあった。 タイトルに反して健全な青春ドラマだったのだが 当時思春期の真っただ中にいたぼくはそのセリフ 「よろめく」という言葉に妙に艶かしさを感じて そのセリフを聞くたびによろめいていたのだった。

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  • 卵割れちゃった

    スーパーなどで買い物して 帰ってきてからいつも困るのが 玄関での卵割れだ。 これがけっこう事件なのだ。 せっかくそこまで慎重に 慎重に運んできたのに 玄関を開けた途端に気が抜けて つい乱雑に置いてしまうのだ。 中身が溢れてしまうと 他の荷物や床についてしまい 乾くまではぬるぬるするし 乾いたあとは... 続きをみる

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  • トイレと芳香剤

    いくらトイレのにおいを隠しても においは隠せるものではない。 芳香剤を置いて隠したつもりでも どこかにトイレのにおいは残っている。 そして芳香剤の力が弱まれば 再びトイレのにおいで満ちてくる。 今度は元々あったトイレのにおいに 気の抜けた芳香剤の香りまで加わって 前にも増して嫌なにおいになる。 芳... 続きをみる

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  • テレビ塔

     山の上にテレビ塔が見える。地デジやFMの電波はあそこから流れてくるんだ。  ふと思う。今の文明がなくなって、まったく違った文明になった時、その時代の人たちはあのテレビ塔を見て、いったい何と思うのだろうか。さすがに自然の産物だなどとは思わないだろうが、結局訳がわからずに、古代宗教の遺跡として片付け... 続きをみる

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  • ショルダーバッグ

    1、  出かける時には、いつもショルダーバッグを肩に引っかけて行っている。中に入っているのは、手帳とボールペンと本が一冊で、他には何も入ってない。  手帳やボールペンは、別にブログの下書きをするためではない。以前は詩や短歌や俳句などを書いていたが、読み返してみると、字が汚すぎて読めない。ということ... 続きをみる

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  • 六十代

    人間の平均寿命が百二十歳になったら きっと六十代なんか若造で 先輩諸氏からいつも 怒鳴られているだろう。 人間の平均寿命が百二十歳になったら きっと六十代の髪は黒々していて 白髪や薄毛の人は早熟な人と言って からかわれるだろう。 人間の平均寿命が百二十歳になったら きっと六十代の体力的にもまだ若く... 続きをみる

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  • 嘘つき

    男は 絶対に浮気はしません という嘘をつく 女は 絶対に嘘をつきません という嘘をつく 喫煙家は もうタバコは吸いません という嘘をつく 二日酔い野郎は 二度と酒は飲みません という嘘をつく 子供は 絶対に勉強します という嘘をつく 年寄りは わしが若かった頃は という嘘をつく 政治家は 絶対に生... 続きをみる

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  • 1957年製

    朝目覚めるとぼくはこの機械に キーを入れてエンジンをかける。 機械はしばらく停滞してから 「よっこらしょ、よっこらしょ」 ゆっくりゆっくり動き出す。 この機械は1957年製だから 66年間使用していることになる。 たまに故障はあったものの 性能がよかったのか、運がよかったのか ここまでは大事に到ら... 続きをみる

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  • 昨年の日記より

    昨年、尾崎放哉にはまっていた頃に、自由律俳句や自由律短歌のまねごとで書いたものです。 ---------- 四月の半ば、明日は 真夏日になるという 時々、雨 菜種梅雨 街灯、 ビニール傘を映す 初夏 季節の変わり目 背中が痛い 春の夕暮れ 左から三番目の 文字をさがす そこのスマホ人 信号渡るのか... 続きをみる

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  • 半袖しましょうよ

    このごろ暖かくなってるし たまには暑くもなってるし 四月もなかばになってるし そろそろ半袖しましょうよ 吹く風はすでに初夏になり 長袖のボタンが暑苦しいし どうにも通気がとどこおる やっぱり半袖しましょうよ 皮膚で呼吸が出来るように 汗がちゃんと拭えるように そろそろ春を捨てましょう いい加減半袖... 続きをみる

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  • さて、

    さて、 社会に出てから四十年以上になる。 ずっと客商売をやってきたのだが 現在働いているところは 家から歩いて行けるくらいに 近い場所にある。 ここまで近いのは初めてだ。 一時間以上もバスや電車に揺られ 最後は走って職場まで 通っていたのがうそのようだ。 さて、そのせいでもないのだろうが 見知らぬ... 続きをみる

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  • タケノコ

    毎年春になると タケノコばかり食べている。 買っているわけではない。 いろいろな人がくれるのだ。 まあ、嫌いな食べ物ではないし 体にもいいものだから ビールや酒の肴や ご飯のおかずにしている。 だけど、五月末までの おおよそ二ヶ月間 タケノコ攻勢に遭うもんで 四月の中旬を過ぎた頃から だんだん嫌気... 続きをみる

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  • 人類が滅亡する

    1, 一説によると 数十年後に人類は滅亡するらしい。 それは大変な話ではある。 しかし個人という単位だと ただ死ぬだけの話で 人類の滅亡というのは ただのおまけにすぎない。 一人で死ぬのではなく みんなで死んでいくのだから そこには悲しみもないだろう。 そういう死も悪くはないな。 ・・・・なんて思... 続きをみる

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  • 新学期(後編)

    3,  高校生になると、再びクラス替えが関心事になってくる。  クラス替えに直接関係あるのが、2年と3年の時だ。  2年の新学期の頃は、1年の頃に同じクラスや同じ部活の人間以外はあまり知らない。そこで、クラス替えに新しい出会いを求めたのだ。このへんが、小中学校時代のクラス替えとはちょっと違うところ... 続きをみる

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  • 新学期(前編)

    2002年4月4日の日記です。 1,  小学生の頃、この時期の一番の関心事といえば、なんと言ってもクラス替えだった。ぼくたちの学校は、2年単位でクラス替えをやっていたので、その先2年間の運命が始業式に決まったのである。 「こいつと一緒のクラスにクラスになりたい」と思う奴と一緒のクラスになれたら2年... 続きをみる

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  • ピーチクパーチク

    上空でピーチクパーチクと、 鳴いているのがヒバリだと 知ったのは肥後熊本の民謡の 『おてもやん』を聴いてから。 春になるとせわしなく ピーチクパーチクその声が、 憚ることなく聞こえてくる。 聞こえてくるのはくるのだが、 ぼくはその姿をこれまで今まで 一度っきりとて見たことがない。 体が小さいためな... 続きをみる

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  • 自信を持って

    気づくと悩んでいる自分がいる。 なにを悩んでいるのかというと それがまたどうでもいいことで すでに終わっていることだとか 今つぶやいたひとりごとだとか 来てもいない将来のことだとか。 つまり無駄に悩んでいるわけだ。 常に悩み顔ばかりしているから 道端の猫から「退けよおっさん」 という顔をされ避けら... 続きをみる

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  • ♪レジャーモービルの女

    「レジャーモービルの女」 というタイトルの歌がある。 もう三十年以上も前の歌だ。 自分で作った歌なのだが 最近その歌にはまっている。 車に乗っている時は いつもその歌を聴いている。 ブログの更新時にも聴いている。 お風呂で鼻歌も歌っている。 別に古い思い出に浸っているわけではない。 純粋に音楽を楽... 続きをみる

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  • ♪ひとりぼっち

     ぼくは20歳から22歳まで東京に住んでいた。  20歳の春にまったくの未知だった東京に飛び込んでから一年、ようやく東京生活に慣れた頃だった。それとなく仲間が出来、その仲間と飲みに行ったり、ドライブに行ったり、彼らの家を泊まり歩いたりして親交を深めていった。  ところが、彼らと別れた後、楽しい気持... 続きをみる

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  • どっちもどっち

    スマホで調べものをしている時に 同世代と思しき方が近づいてきて、 「見えるんですか」と言うのです。 『おかしな人だ』と思っていると、 同世代のぼくがメガネもかけずに スマホの細文字を見ていることが 羨ましく思えて声をかけたんだと。 六十を超えた今もスマホの文字は 見えるのですが、遠い所の文字が ダ... 続きをみる

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  • 亀さん

    亀は自分を亀だとは思っていない 他と形が違うとは思っているけど ゆえに私は亀なんだとは思わない もちろん仙人だとも思っていない 自分を亀だと自覚することよりも 亀は日々の糧を探すことに一杯で 時に敵から身を守ることに一杯で もがくように歩くことにも一杯だ 亀は自分を亀だとは思っていない とはいうも... 続きをみる

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  • のどが渇く

    こんなにのどが渇くのは 空気の乾きか病気のせいか。 水を飲めば渇きも癒えるが すぐまた渇きがやってくる。 四月中旬の気候だというのに 何でこんなに渇くのか。 こんなにのどが渇くのは 四半世紀も前に熱中症で 病院に担ぎ込まれた時以来だ。 真夏の暑い一日だった。 熱風が体を包んでは 日差しが頭を突いて... 続きをみる

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  • ♪春のようなしぐさ

    春のようなしぐさ 新谷 雅先 · 春のようなしぐさ 春に舞う鳥になれたら いつもぼくは君のそばにいて 二人で空を翔んでは ありったけの愛を歌う こんなひとときにも君は 苦労性に体を動かす 「それでもいいよ」という君を見ていると ぼくはとてもやりきれなくて 笑いながら日々を過ごせたら こんなにいいこ... 続きをみる

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  • 風濃く吹けば

    風濃く吹けば桜舞い 桜吹雪けば風が散る 散らばる風に雲集い 雲極まって雨が降る 雨清く降り地を洗い 地清まれば風が吹く 風濃く吹けば桜舞い 桜吹雪けば風が散る…

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  • 1978年4月、上京

    1978年4月の上旬のことだった。 キャンディーズの解散コンサートを テレビでしっかり目に焼付けてから 桜前線を追うようにぼくは上京した。 東京で新幹線から中央線に乗り換え 降りた駅が当時国電の新宿駅だった。 この街がぼくの東京デビューとなる。 一度も来たことのない街だったのに まったく違和感を感... 続きをみる

  • お酒の言い分

    何か問題が起きるたびに毎回毎回 お酒が悪いんだと言いますけどね 私は何ひとつやってはいませんよ だって私暴れたりはしませんから それよりも私が問題だと思うのは 全て酒のせいということにすれば 悪い印象が少しは軽くなるだろう といった世間の甘えた考え方です 酒中別人と言って、酔った主君を 許したのは... 続きをみる

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  • 車道日記

     数日前の話。  嫁さんを迎えに行く途中に、数台のパトカーとすれ違う。きっとまた警らという名の取り締まりなのだろうが、そうやって車ばかりいじめずに、 少なからず事故の原因となっている自転車を取り締まれよ。  車の場合、いくら一時停止を怠ってもスピード違反しても、とりあえずは自分や他人の身の安全だけ... 続きをみる

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  • 青春のスクイズ

    きっとあいつは走ってくる。 砂煙を上げ滑り込んでくる。 ベンチはヒッティングから スクイズサインに切替えた。 ベース上で土を払っている あいつの目に覚悟が見えた。 1点ビハインドの九回の裏 あいつを生還させなければ この一戦が引退試合になる。 優勝なんて望んでないけど 出来ることなら一試合でも 多... 続きをみる

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  • 心の絵柄

    別にコツコツやるのが嫌いなのではない。 どちらかというとコツコツやる性格だし 今までコツコツやってきたと思っている。 おかげで人並みな人生だけは歩いている。 とはいうものの、心に描いている絵柄は コツコツとやる自分の姿ではありません。 それはコツコツとは真逆に位置している、 宝くじを当てたような一... 続きをみる

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  • ♪街の灯

    街の灯 新谷 雅先 · 街の灯 ほんのひとときの黄昏が 今日のため息をつく 病み疲れたカラスたちが 今日も帰って行く  昔描いた空は消えはてて  さて、帰る家はあったんだろうか 琥珀色の時の中で 街の灯は浮かぶ 明るい日差しの中でも 笑わないカラスが すすけた街の灯を 見つめては笑う  昔描いた空... 続きをみる

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  • 日に日に新たに

    いつも今日からが楽しいのであって 決して今日までが楽しいのではない。 これからのことを考えるとワクワクもするが これまでのことを考えてもワクワクはしない。 だからいつまでも過去にこだわらずに 今からのことを考えていくんだ。と、 毎日毎日同じことを自分に言い聞かせている。 だけど、いつまで経ってもこ... 続きをみる

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  • 根性という壁

    そこに行くためには根性という 高い壁を越えなければならない。 その壁越えはえらくやっかいで 根性という言葉を好む人種には 不可能なことだと言われている。 なぜならその人達はその言葉を 崇高なものと思っているからで そこに人生をかさねたいからで 『道』にまで昇華したいからで… その重さゆえに潰されて... 続きをみる

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  • 盤珪

     30代の頃、仏教の書物を読み漁ったことがある。20代の頃に中国思想に耽っていたが、30代の始めに中国思想ではどうにも解決できないものにぶち当たってしまい、仏教書に走ったのである。  かなり読みましたね。特に好きだったのが、禅宗関係の本だった。読後の爽快感は他の宗派の差ではなかった。  その中でも... 続きをみる

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  • 回れ右

    夜、仕事を終えて家に帰ってくると、 他階に住む女の子が自動ドアを開け マンションの中に入ろうとしていた。 ところが女の子は突然回れ右をして そそくさと外に出ていったのだった。 おかしな子だなと思いながらぼくは 自動ドアを開けて中に入ろうとした。 「あっ!」なるほどそうだったのか これに気づいたから... 続きをみる

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  • 朝の出来事

    今日も黒いズボンをはき 黒いスニーカーをはいて 2キロ程の道のりを歩き 20分程で職場に着いた それから1時間程たって 用を足しにトイレに行く あっ、ようやく気づいた ファスナーが開いていた 誰にも気づかれなかった ─────んだろうか?

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  • 売り出しの日のスーパーに行くと 駐車場所を探すのにひと苦労する。 原因を作っているのが軽自動車だ。 店側は軽自動車のため専用の枠を いくつも用意しているのに軽側は 普通車用の駐車枠に止めてしまう。 普通車は軽枠に止められないので ウロウロウロウロしてしまうのだ。 軽の方少し考えて止めて下さいよ。

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  • 独演会

    かれこれ一時間以上になるだろう 家の前にある公園で一羽の野鳥が 大きな声を張り上げて鳴いている。 この時期まだ鳴き慣れてないのか 抑揚はときおり単調になっていき 音程はそのつど微妙にずれていく。 何小節かを一呼吸で歌い上げては ブレスしてブレスしてブレスして また何小節かを一呼吸で歌うのだ。 その... 続きをみる

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  • 怠け者の休日

    徐々に風が暖かくなり 徐々に冬が遠ざかっていく。 外はまぶしいくらいに晴れ渡り 家の中にいる休みのぼくを しきりに手招きしている。だけど へそ曲がりのぼくは動かない。 じっとテレビの前に座って 録りだめしたドラマの最終回を 必死になって観ている。 ふと気がつくと寒いんだ。 特に足下が冷えきってしま... 続きをみる

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  • 春十五度

    春十五度。昨夜着ていた ぶ厚く重い上着を脱いで 軽めのパーカーを羽織る 心も体も浮かれる十五度 春十五度。お酒でいうと 日本酒くらいの度数かな ほろ酔い気分で街を歩く ふらつきながらの十五度 春十五度。これが坂道の 上り傾斜の度数であれば かなりきついし汗ばむし 疲労度数が一気に十五度 春十五度。... 続きをみる

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  • 無精ヒゲ

    休みの日になると決まって思うことがある。 『ヒゲを剃らんといかんなぁ・・』 例えば二連休の時などは二日続けてそう思っている。 つまり二日間ヒゲを剃らないということだ。 ちょっとの手間を惜しまずにやっておけば、 いらんことに心悩ますこともないし 仕事の日の朝は剃るヒゲの量が少なくてすむし シェーバー... 続きをみる

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  • 自分を嗅いでいる

    お年寄りとすれ違った時、 ツンと鼻につくものがあった。 「ああ、これが加齢臭か」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅いでいた。 ある人と打ち合わせをしていた時、 思わず顔を背けたことがある。 「ああ、ひどい口臭だ」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅いでいた。 他人の臭いが気になるたびに、 自分の臭い... 続きをみる

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  • 異変

    この頃、自分の年齢に引き込まれてしまうことがある。 これまで年齢にとらわれることは全くなかったのだが、 六十歳を超えてから、突然気になるようになってきた。 六十代のありかたとか、あと何日で年金が入るだとか、 何歳まで車に乗ろうかとか、女房ももう婆さんだとか、 肩腰が痛い、足がむくむ、ちょっと頻尿、... 続きをみる

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  • 妖怪ねぶそく

     寝不足というと本人の不摂生に起因するものと思われがちだが、実はこれは妖怪の仕業なのである。パソコンやゲーム機には、必ずこの妖怪が潜んでいる。  この妖怪に取り憑かれると、時間が経つのを忘れさせられてしまう。午前1時を過ぎても、2時を過ぎても、「まだまだ」という気分にさせられるのだ。  特に日記を... 続きをみる

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  • 残寒

    もうじきいなくなる冬が 時おり北から降りてきて 今季のノルマを果そうと 最後の寒さを吐いている とはいえ何日も何週間も 居座った先月迄の勢いは すでに残っていないのか 寒さにチカラを感じない 寒さにフカミを感じない

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  • 河川敷の道

    この道は昔どんな道だったんだろう。 舗装された河川敷の道を見てそう思う。 おそらくは丈の長い草がぼうぼう生えて 道はぬかるんでいたのではないだろうか。 時折におってくる水浸しの土のにおいや アスファルトの隙間から顔を出す雑草が ぼくにそれを教えてくれる。 雨が降るとぬかるみはさらにひどくなり 無数... 続きをみる

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  • 1980年3月

    九州に戻った1980年3月末、 中々職が決まらず苦労していた。 前年就職口を決めていたのだが どうも行く気が起きずに断った。 代わりの企業を探したんだけど これといった所が見つからない。 当時は就職情報誌の数も少なく、 さらに東京のそれとくらべると こちらのは遥かに薄っぺらくて 情報もちょっとしか... 続きをみる

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  • ラバー・ソウル

    何でこの世に生まれてきたかって? 簡単なことだよ、そんなこと。 ビートルズのラバー・ソウルという レコードを買いたかったからさ。 ただそれだけなんだよ。 あとはそれを納得いくまで聞いて 次の人生に向かうんだ。 えっ、思想?哲学?宗教だって? この人生に限って言えばそんなこと どうでもいいことなんだ... 続きをみる

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  • ササクレ

    ゆびの先がささくれているのです。 気がつけばささくれているのです。 放っておくと何かに引っかかって ササクレがささくれていくのです。 ササクレがささくれると痛みます。 ヒリヒリヒリと訴えてくるのです。 ササクレは小さなキズなんだけど ヒリヒリヒリと訴えてくるのです。 ときには血が出たりもするのです... 続きをみる

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  • サザエさん

    サザエさんの第一回放映があった日、 ぼくはそれを昭和44年の7月だと ずっとずっとずっと思い込んでいた。 だけどそれはぼくの記憶違いだった。 実際は10月から放映が正しかった。 なんで記憶違いをしてしまったのか それをいろいろと考えてみたのだが 7月にサザエさんテレビ放映決定の 記事を読んだのを憶... 続きをみる

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  • 道路工事

    いつもこの道は一車線を封鎖して 掘っては埋めての工事をしている。 始まってから十年を過ぎているが いつまでたっても終りそうにない。 一応いついつまでとは書いていて 工事は期日どおりに終わっている。 ところが翌日になると別の車線で あらたな工事が始まっているのだ。 路面の矢印も書き換えられていて、 ... 続きをみる

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  • ♪追いかけて

     三十代半ばのこと。元同僚から、「結婚するので、披露宴で歌を歌ってくれんか」という依頼がきた。  仲のいい人だったので、心安く引き受けたが、なかなか歌う歌が決まらなかった。人の結婚式で歌ったことは何度もあったのだが、同じ歌を歌ったことはない。それが、その人に対する自分なりの誠意だったのだ。 「仕方... 続きをみる

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  • 煤けた箱

    倉庫で荷受けをやっていた頃、 時々間抜けな簡字体漢字と 不格好な仮名文字が印刷してある、 妙に煤けた段ボール箱が、 何十個も届いていた。 ぼくはこの箱を触るのが嫌だった。 箱もそうだが、 中に入っている商品も、 なぜか薄汚れて見えるのだ。 しかもその箱、虫でもいるのか、 触ったあとにいつもブツブツ... 続きをみる

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  • 生きる証

    そこからそこまで線を引いて いくつもいくつも線を引いて そこばかりをやみくもに 覚えていた時期があった。 ただ試験のためという 目先のことだけを考えての 単純で退屈な作業だった。 線を引いた箇所はそれ以降 何の役にも立っていない。 ところがそうやって過ごした その時期が何とも言えず懐かしい。 決し... 続きをみる

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  • 悲しきマッサージチェア

     昨日は休みだったのだが、何もやることがなかった。あまりに暇だったので、運動をした後に、嫁さんの部屋に置いてあるマッサージチェア(あんま椅子のことを今はそう呼ぶらしい)にかかった。それを使うのは今年初めて、というか半年ぶりだ。  そのマッサージチェアだが、5年程前に嫁さんの会社で従業員に斡旋してい... 続きをみる

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  • 大大

    知り合いのお子さんがこの春から 大分大学に進学するということで それはおめでとうございます。と あいさつしたのだが、その最中に 僕は素朴な疑問を抱いたのだった。 東京大学は東大、京都大学は京大 九州大学は九大と呼ばれているが 大分大学は何と呼ばれているのか? もしかして大大(ダイダイ)では。 もし... 続きをみる

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  • 砂糖が切れて

    あっっ、そうだった。忘れていた 砂糖が切れかかっていたんだった。 砂糖がなくなりかけていることに 気づいたのは一昨日の夕方だった。 「明日スーパーに行くからその時 買うことにしよう」と思っていた。 予定どおり昨日スーパーに行った。 だが砂糖を買うのはついでであり 主な目的は今日の昼飯の買出しだ。 ... 続きをみる

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  • コーヒータイム

    誕生は前世の終わり 死去は来世の始まり 子供は捻くれた大人 大人は武装した子供 青春は人生の汚染期 老いは人生の異臭期 白髪は頭髪の進化形 ハゲは人類の進化形 恋人の会話は緑茶色 愛人の吐息は紅茶色 親子の生活は薄茶色 夫婦の空気は焦茶色 一生は未来の記憶を 散りばめた一本の道 人生は未来の記憶を... 続きをみる

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  • お金の行方

     昨日は休みだった。昼間、嫁さんと近くのレストランに昼食を食べに行ったのだが、そこで高校の同級生S君にあった。彼は、高校以来の友人で、卒業後もずっと飲み友だちでいるのだが、コロナ禍があってからは会っておらず、久々の再会となった。彼は仕事でそのレストラン近くに来ていたということだった。しばらく話をし... 続きをみる

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  • 立小便

    道ばたで立小便をすれば 今の世の中だと確実に通報されて 警察にしょっ引かれていくだろう。 昔は軽犯罪ですんでいた行為も 今はいろいろな尾ひれを付けられて 聞いたことのない罪名を付けられて 世間にその名前と顔とをさらされて 人生最大の辱めを受けることになる。 だからいくら我慢出来なかったとしても 道... 続きをみる

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  • タイムマシンが出来たら

    もしタイムマシンが出来たら ぜひ利用したいと思うのだが それに関してずっと昔から 不安に思っていることがある。 それはタイムマシンを使ったら 過去にしろ未来にしろ、もちろん 今いる場所に移動するはずだが 移動した時代、もしその場所が 車道になっていたとしたら、そして そこを車が走っていたとしたら、... 続きをみる

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  • ♪心の中を

    心の中を 新谷雅先 · 心の中を いつもいつも考えることは 暮らしのことばかり 日々が通り抜けていく 風は吹く、心の中を いつもいつも同じことの 繰り返しばかり 日々が色褪せていく 時は行く、心の中を  ただ夢だけが  駆け抜けていくのを  遠く眺めてるような毎日  風は吹く、心の中を  ああ、想... 続きをみる

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  • 銀行からのメール

     先日、メールをチェックしていると、その中に銀行からのものがあった。  内容を見てビックリした。何と『入金』と書いているではないか。一瞬、給料日なのかと思ったが、給料日にはまだ早いし。というか、その口座は給与振り込みの口座ではないのだ。ではいったい、どこからお金が振り込まれたのだろう。  実はこの... 続きをみる

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  • 第1号

    白いボールは風に乗り、 どこまでもどこまでも 飛んでいった。 その行方を目で追いながら、 ダイヤモンドを必死にぼくは、 駆けた、駆けた、駆けた。 一塁を回り、二塁を回る。 このまま一気にホームを駆け抜けろ。 と思っていたら、 三塁にかかったところで、 外野がボールに追いついた。 どこまでも飛んだは... 続きをみる

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  • 忍術千一夜

    1, 忍者というと姿を消してみたり、 新幹線よりも速く走ってみたり、 屋根に軽々と跳上がってみたり、 天井に長時間貼り付いてみたり、 石に化けたり、壁と同化したり、 いろんな不可能をやってくれる。 もしオリンピックに出場したら、 間違いなく金メダリストだろう。 2, 実際忍者と呼ばれていた人達は、... 続きをみる

  • ちょっとした発見

    1、 昨年ちょっとした発見をして、 現在研究しているところです。 なにを発見したのかというと、 ぼくが歴代好きになった人の 名前です。同じ系列の画数が 全ての人に入っていたのです。 2、 その数というのが四柱推命で ぼくの最高吉星となる数字だ。 けっしてその数字があるから その人に惹かれた訳ではな... 続きをみる

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  • 霊験

    霊験に霊験を重ねていくと 霊験は霊験でなくなっていき 当たり前のことになってしまう。 ここからが分岐点になる。 当たり前のことなんだと思い 霊験を捨ててしまう人がいる。 一方でその当たり前のことをも 霊験だと信じて感謝する人がいる。 そのどちらもそこからの人生を 歩んでいくわけだが、 不平不満の人... 続きをみる

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  • その時間を通り過ぎる

    ダラダラと歩道を歩いていると 顔見知りのじいさんが向こう側にいた。 声をかけられると話が長くなる。 幸い相手は気づいてないみたいだから ぼくは手に持ったスマホに目やり さも急いでいるふりをしながら サッサとその時間を通り過ぎた。 再びダラダラ歩いていると 学校帰りの小学生に出くわした。 今時のガキ... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」3

     ところで、高校1年時の夏休み以外にも、ぼくはショックを受けたことがある。それは、再び「おじちゃん」と呼ばれたことではない。もっと先を行っていたのだ。  5年ほど前だったろうか、ショッピングモールの中でそれは起こった。  嫁さんが買い物をしている最中、ぼくは暇をもてあまし、そこにあったテレビを見て... 続きをみる

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  • 朝の吟遊詩人たち

    始発バスも来ない時間から、 窓の外にある公園に、ぞろぞろ 吟遊詩人たちが集まってくる。 彼らは大声を張り上げながら、 その存在を主張する。 疲れ果てた人の耳には、 季節と自然に調和した 心地よい音楽に聞こえるも、 這い出たばかりの虫たちには、 死神の雄叫びに聞こえている。 彼らの歌に興奮したのか、... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」2

     さて、その後は「おじちゃん」などという忌まわしい言葉で呼ばれることは、ほとんどなくなった。それは、頭が真っ白になった今でもそうだ。  まあ、たまにそう呼ぶ人がいないではないが、そういう人たちは、ぼくのことを何と呼んでいいかわからずに「おじちゃん」と呼んでいるのだと思う。愛称として「おじちゃん」と... 続きをみる

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  • 心がけ

    「これを落としそうな気がする」 そう思った時は決まってそれを どこかに落としている。だから 「これを落としそうな気がする」時は 「これを必ずポケットに入れる」と 自分に言い聞かせるよう心がけている。 ところが「これを落としそうな気がする」時 ぼくはいつもいつもいつもいつも 「これを必ずポケットに入... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」1

    「おじちゃん」  ぼくに対してその言葉が初めて使われたのは、高校1年の夏休み、ちょうど横須賀の叔父の家に遊びに行っていた時のことだった。当時叔父の家には風呂がなかった。そのため、叔父の家に滞在中は毎日銭湯に通ったものだ。  そんなある日のこと、その日は叔母といっしょに銭湯に行っていた。先にぼくが風... 続きをみる

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  • 思っているほど

    思っているほど男は強くない 思っているほど女は弱くない 思っているほど過去は近くない 思っているほど未来は遠くない 思っているほど一日は短くない 思っているほど一年は長くない 思っているほど動物は馬鹿じゃない 思っているほど人間はかしこくない 思っているほど休みは楽じゃない 思っているほど仕事はき... 続きをみる

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  • 言葉をつま弾く

     中学の頃フォークブームというものがあった。例えば吉田拓郎さんの『イメージの詩』のように、自分で言いたいことを曲をつけて語る、という新しいスタイルが登場したのだ。  そういうブームに触発されて、曲はともかく、言いたいことを書くだけなら何とかなるだろうと、ぼくは言葉の挑戦を始めた。それがようやく形に... 続きをみる

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  • ♪昨日までの生きざま

    昨日までの生きざま 新谷雅先 · 昨日までの生きざま 夜は明けて 日は昇り 雲は隠す 鳥は鳴き 風は吹き 今日でお別れ また街は揺れる いつものように 人は声もかけず 忘れたふり 空は泣き ぼくは泣き 涙は尽き くたびれた靴が この街の想い出 この道は いつもの道 歩き慣れた 傘もなく びしょぬれ... 続きをみる

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  • 浪人時代

    退屈さがしみてくると また悪魔たちがやってくる 昼夜かまわず生ぬるい風が 声を上げながら吹きすさぶ ―いやいや将来が楽しみなお子さんですぁ  これから渡る社会という荒波を前にして  お子さんは動かずして戦略を練ってらっしゃる  なかなかの大物じゃないですか、おかあさん ―いやいやそうじゃないんです... 続きをみる

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  • なごり雪

    昭和五十五年三月某日、 国鉄新宿駅のホームには 冷たい雪が降っていた。 東京時代を共に駆け抜けた友人との、 その日が最後の一日だった。 いつものように 歌舞伎町でパチンコをして、 いつものように 駅のホームで別れたのだった。 「なごり雪か・・・」 「こういう時って、 本当に雪が降るんだな」 それが... 続きをみる

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  • 問題は

    問題は新聞のチラシにあるのではなく 問題はエントランスの噂話にあるのではなく 問題は電車内の世間話にあるのではなく 問題はネット上にあるのではなく 問題は情報の薄っぺらさにあるのだ。 問題は企業にあるのではなく 問題はハローワークにあるのではなく 問題は日本国国家にあるのではなく 問題は国際情勢に... 続きをみる

  • 遠くでカンコン

    遠くでカンコン、 踏切警報機が鳴っている。 いつの頃からだろうか、 夜中の警報機は、 犬の遠吠えのように むなしいものになった。 むかしはカンコンに旅情を誘われ、 いつも夜汽車の中にいる自分を 想像していたものだった。 ところが、 この時代は夜汽車がない。 味気のない新幹線が 企業人の時間帯に合わ... 続きをみる

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  • 物書きになる夢

     物書きになる夢というのが昔からあったですね。それが小説家なのか、エッセイストなのか、はたまた詩人なのか、そのへんはあまりはっきりしてなかったけど、ライターという言葉にはかなり憧れました。  ある時期そういう会社にも所属していました。ライターばかり集めて本を作る会社でした。しかしライターというのは... 続きをみる

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  • ♪卒業

    卒業 新谷雅先 · 卒業 雪は残り花は遅れていた しかし彼らは知り尽くしていた 一つの旅が終わったことを みんなどこでもいいから吹き飛びたいと言った というのも彼らの行くところはなかったから 一つの旅が終わった時に  薄暗い空から雨も降り始めていた  でもちょっと見回すと晴れ間も見えていた 誰かが... 続きをみる

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  • 1976年3月1日

    さようなら、さようなら 今日でぼくたちは卒業だ。 ここまで付き合いのなかった人や 同じ進路を歩まない人とは とりあえずこれでお別れだ。 この先会うこともないだろう。 特にクラスの違う女子たちとは 二度と会わないに違いない。 もし人生のどこかで彼女たちと すれ違うことがあったとしても その時、その人... 続きをみる

  • 中一時代

    真っ白白な画用紙一面に 青い絵の具を塗りたくり 他には何にも描かないで 提出していた美術の時間 病弱な友だちに付合って 運動場の隅っこに座って 数ヶ月の間談笑しながら 見学していた体育の時間 授業中の小さな落書きが なんと往復ビンタ二十発 日曜大工すら嫌いになる 原因を作った技術の時間 ぼくを不良... 続きをみる

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  • 喜多方回想

    1,  喜多方ラーメンを食べに行った時の話(2月25日付の記事)だが、あの時は東京から喜多方までJRを利用した。  上野から新幹線に乗り、郡山で下車。そこから磐越西線に乗り換え喜多方に向かった。  当初、東武日光線で会津まで行こうかと思っていた。ところが調べてみると4時間半ほどかかる。「そんなにか... 続きをみる

  • 未来

    もしかしたらぼくたち人間は この一生を知りつくした上で 生れてきたのかもしれないね。 たまに先のことがわかったり 見えたりするのはそのせいで たまにそれを思い出すからだ。 未来全てを思い出せないのは 先のことはわからないという 先入観からくるものだろうね。 もし未来を知ってしまったら 人生が楽しめ... 続きをみる

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  • 象が踏んでも壊れない

     かつて『象が踏んでも壊れない』という筆箱があった。テレビのコマーシャルでは、実際に象が踏んでいる映像が使われていた。しかしそれは象が踏んでいるというよりも、足を乗せているだけにしか見えなかった。  象のCMが始まって数年後、ぼくが高校一年の時だった。 『やはりあれはおかしい』ということで、ぼくは... 続きをみる

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