浪人時代
退屈さがしみてくると
また悪魔たちがやってくる
昼夜かまわず生ぬるい風が
声を上げながら吹きすさぶ
―いやいや将来が楽しみなお子さんですぁ
これから渡る社会という荒波を前にして
お子さんは動かずして戦略を練ってらっしゃる
なかなかの大物じゃないですか、おかあさん
―いやいやそうじゃないんです
この子は自分に負けているんです
どうしようもない弱虫なんです
そんなことを言って甘やかさないでください
涙まじりに言っていた
母の横顔が切なくて
いつまでもこれでいいんだろうかと
自分自身が情けなくなった
それでも一歩が踏み出せずに
ぼくは悪魔の日々を繰り返す
このまま人生が途切れてしまうんじゃないかと
心の中でふるえながら