タケノコ
毎年春になると
タケノコばかり食べている。
買っているわけではない。
いろいろな人がくれるのだ。
まあ、嫌いな食べ物ではないし
体にもいいものだから
ビールや酒の肴や
ご飯のおかずにしている。
だけど、五月末までの
おおよそ二ヶ月間
タケノコ攻勢に遭うもんで
四月の中旬を過ぎた頃から
だんだん嫌気がさしてきて
五月に入ると、もう
見るのも嫌になっている。
これを調理するのは実家の母で
最初の頃こそおいしく仕上げてくれるが
だんだん手抜きをするようになり
今ではアク抜きも充分にやってない。
だから苦い、とにかく苦い。
苦い、苦い、苦い!
この苦さで残りのひと月を過ごすのだ。
現在ぼくの家は、この苦味が
初夏の味になっている。