独演会
かれこれ一時間以上になるだろう
家の前にある公園で一羽の野鳥が
大きな声を張り上げて鳴いている。
この時期まだ鳴き慣れてないのか
抑揚はときおり単調になっていき
音程はそのつど微妙にずれていく。
何小節かを一呼吸で歌い上げては
ブレスしてブレスしてブレスして
また何小節かを一呼吸で歌うのだ。
その小節も短かったり長かったり
つねに一定だというわけではない。
もしかしたら鳥の世界では、彼は
音痴な部類に入るのかもしれない。
しかし、とにかく力を振り絞って
更には思いの丈を鳴き声に込めて
必死に歌っているように聞こえる。
自分の縄張りを主張しているのか
それとも異性をさそっているのか
はたまた哲学をかたっているのか
きっと何かを訴えているのだろう。