夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

2024年3月のブログ記事

  • 青春のスクイズ

    きっとあいつは走ってくる。 砂煙を上げ滑り込んでくる。 ベンチはヒッティングから スクイズサインに切替えた。 ベース上で土を払っている あいつの目に覚悟が見えた。 1点ビハインドの九回の裏 あいつを生還させなければ この一戦が引退試合になる。 優勝なんて望んでないけど 出来ることなら一試合でも 多... 続きをみる

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  • 心の絵柄

    別にコツコツやるのが嫌いなのではない。 どちらかというとコツコツやる性格だし 今までコツコツやってきたと思っている。 おかげで人並みな人生だけは歩いている。 とはいうものの、心に描いている絵柄は コツコツとやる自分の姿ではありません。 それはコツコツとは真逆に位置している、 宝くじを当てたような一... 続きをみる

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  • ♪街の灯

    街の灯 新谷 雅先 · 街の灯 ほんのひとときの黄昏が 今日のため息をつく 病み疲れたカラスたちが 今日も帰って行く  昔描いた空は消えはてて  さて、帰る家はあったんだろうか 琥珀色の時の中で 街の灯は浮かぶ 明るい日差しの中でも 笑わないカラスが すすけた街の灯を 見つめては笑う  昔描いた空... 続きをみる

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  • 日に日に新たに

    いつも今日からが楽しいのであって 決して今日までが楽しいのではない。 これからのことを考えるとワクワクもするが これまでのことを考えてもワクワクはしない。 だからいつまでも過去にこだわらずに 今からのことを考えていくんだ。と、 毎日毎日同じことを自分に言い聞かせている。 だけど、いつまで経ってもこ... 続きをみる

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  • 根性という壁

    そこに行くためには根性という 高い壁を越えなければならない。 その壁越えはえらくやっかいで 根性という言葉を好む人種には 不可能なことだと言われている。 なぜならその人達はその言葉を 崇高なものと思っているからで そこに人生をかさねたいからで 『道』にまで昇華したいからで… その重さゆえに潰されて... 続きをみる

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  • 盤珪

     30代の頃、仏教の書物を読み漁ったことがある。20代の頃に中国思想に耽っていたが、30代の始めに中国思想ではどうにも解決できないものにぶち当たってしまい、仏教書に走ったのである。  かなり読みましたね。特に好きだったのが、禅宗関係の本だった。読後の爽快感は他の宗派の差ではなかった。  その中でも... 続きをみる

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  • 回れ右

    夜、仕事を終えて家に帰ってくると、 他階に住む女の子が自動ドアを開け マンションの中に入ろうとしていた。 ところが女の子は突然回れ右をして そそくさと外に出ていったのだった。 おかしな子だなと思いながらぼくは 自動ドアを開けて中に入ろうとした。 「あっ!」なるほどそうだったのか これに気づいたから... 続きをみる

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  • 朝の出来事

    今日も黒いズボンをはき 黒いスニーカーをはいて 2キロ程の道のりを歩き 20分程で職場に着いた それから1時間程たって 用を足しにトイレに行く あっ、ようやく気づいた ファスナーが開いていた 誰にも気づかれなかった ─────んだろうか?

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  • 売り出しの日のスーパーに行くと 駐車場所を探すのにひと苦労する。 原因を作っているのが軽自動車だ。 店側は軽自動車のため専用の枠を いくつも用意しているのに軽側は 普通車用の駐車枠に止めてしまう。 普通車は軽枠に止められないので ウロウロウロウロしてしまうのだ。 軽の方少し考えて止めて下さいよ。

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  • 独演会

    かれこれ一時間以上になるだろう 家の前にある公園で一羽の野鳥が 大きな声を張り上げて鳴いている。 この時期まだ鳴き慣れてないのか 抑揚はときおり単調になっていき 音程はそのつど微妙にずれていく。 何小節かを一呼吸で歌い上げては ブレスしてブレスしてブレスして また何小節かを一呼吸で歌うのだ。 その... 続きをみる

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  • 怠け者の休日

    徐々に風が暖かくなり 徐々に冬が遠ざかっていく。 外はまぶしいくらいに晴れ渡り 家の中にいる休みのぼくを しきりに手招きしている。だけど へそ曲がりのぼくは動かない。 じっとテレビの前に座って 録りだめしたドラマの最終回を 必死になって観ている。 ふと気がつくと寒いんだ。 特に足下が冷えきってしま... 続きをみる

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  • 春十五度

    春十五度。昨夜着ていた ぶ厚く重い上着を脱いで 軽めのパーカーを羽織る 心も体も浮かれる十五度 春十五度。お酒でいうと 日本酒くらいの度数かな ほろ酔い気分で街を歩く ふらつきながらの十五度 春十五度。これが坂道の 上り傾斜の度数であれば かなりきついし汗ばむし 疲労度数が一気に十五度 春十五度。... 続きをみる

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  • 無精ヒゲ

    休みの日になると決まって思うことがある。 『ヒゲを剃らんといかんなぁ・・』 例えば二連休の時などは二日続けてそう思っている。 つまり二日間ヒゲを剃らないということだ。 ちょっとの手間を惜しまずにやっておけば、 いらんことに心悩ますこともないし 仕事の日の朝は剃るヒゲの量が少なくてすむし シェーバー... 続きをみる

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  • 自分を嗅いでいる

    お年寄りとすれ違った時、 ツンと鼻につくものがあった。 「ああ、これが加齢臭か」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅いでいた。 ある人と打ち合わせをしていた時、 思わず顔を背けたことがある。 「ああ、ひどい口臭だ」 そう思いながら、 ぼくは自分を嗅いでいた。 他人の臭いが気になるたびに、 自分の臭い... 続きをみる

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  • 異変

    この頃、自分の年齢に引き込まれてしまうことがある。 これまで年齢にとらわれることは全くなかったのだが、 六十歳を超えてから、突然気になるようになってきた。 六十代のありかたとか、あと何日で年金が入るだとか、 何歳まで車に乗ろうかとか、女房ももう婆さんだとか、 肩腰が痛い、足がむくむ、ちょっと頻尿、... 続きをみる

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  • 妖怪ねぶそく

     寝不足というと本人の不摂生に起因するものと思われがちだが、実はこれは妖怪の仕業なのである。パソコンやゲーム機には、必ずこの妖怪が潜んでいる。  この妖怪に取り憑かれると、時間が経つのを忘れさせられてしまう。午前1時を過ぎても、2時を過ぎても、「まだまだ」という気分にさせられるのだ。  特に日記を... 続きをみる

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  • 残寒

    もうじきいなくなる冬が 時おり北から降りてきて 今季のノルマを果そうと 最後の寒さを吐いている とはいえ何日も何週間も 居座った先月迄の勢いは すでに残っていないのか 寒さにチカラを感じない 寒さにフカミを感じない

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  • 河川敷の道

    この道は昔どんな道だったんだろう。 舗装された河川敷の道を見てそう思う。 おそらくは丈の長い草がぼうぼう生えて 道はぬかるんでいたのではないだろうか。 時折におってくる水浸しの土のにおいや アスファルトの隙間から顔を出す雑草が ぼくにそれを教えてくれる。 雨が降るとぬかるみはさらにひどくなり 無数... 続きをみる

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  • 1980年3月

    九州に戻った1980年3月末、 中々職が決まらず苦労していた。 前年就職口を決めていたのだが どうも行く気が起きずに断った。 代わりの企業を探したんだけど これといった所が見つからない。 当時は就職情報誌の数も少なく、 さらに東京のそれとくらべると こちらのは遥かに薄っぺらくて 情報もちょっとしか... 続きをみる

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  • ラバー・ソウル

    何でこの世に生まれてきたかって? 簡単なことだよ、そんなこと。 ビートルズのラバー・ソウルという レコードを買いたかったからさ。 ただそれだけなんだよ。 あとはそれを納得いくまで聞いて 次の人生に向かうんだ。 えっ、思想?哲学?宗教だって? この人生に限って言えばそんなこと どうでもいいことなんだ... 続きをみる

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  • ササクレ

    ゆびの先がささくれているのです。 気がつけばささくれているのです。 放っておくと何かに引っかかって ササクレがささくれていくのです。 ササクレがささくれると痛みます。 ヒリヒリヒリと訴えてくるのです。 ササクレは小さなキズなんだけど ヒリヒリヒリと訴えてくるのです。 ときには血が出たりもするのです... 続きをみる

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  • サザエさん

    サザエさんの第一回放映があった日、 ぼくはそれを昭和44年の7月だと ずっとずっとずっと思い込んでいた。 だけどそれはぼくの記憶違いだった。 実際は10月から放映が正しかった。 なんで記憶違いをしてしまったのか それをいろいろと考えてみたのだが 7月にサザエさんテレビ放映決定の 記事を読んだのを憶... 続きをみる

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  • 道路工事

    いつもこの道は一車線を封鎖して 掘っては埋めての工事をしている。 始まってから十年を過ぎているが いつまでたっても終りそうにない。 一応いついつまでとは書いていて 工事は期日どおりに終わっている。 ところが翌日になると別の車線で あらたな工事が始まっているのだ。 路面の矢印も書き換えられていて、 ... 続きをみる

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  • ♪追いかけて

     三十代半ばのこと。元同僚から、「結婚するので、披露宴で歌を歌ってくれんか」という依頼がきた。  仲のいい人だったので、心安く引き受けたが、なかなか歌う歌が決まらなかった。人の結婚式で歌ったことは何度もあったのだが、同じ歌を歌ったことはない。それが、その人に対する自分なりの誠意だったのだ。 「仕方... 続きをみる

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  • 煤けた箱

    倉庫で荷受けをやっていた頃、 時々間抜けな簡字体漢字と 不格好な仮名文字が印刷してある、 妙に煤けた段ボール箱が、 何十個も届いていた。 ぼくはこの箱を触るのが嫌だった。 箱もそうだが、 中に入っている商品も、 なぜか薄汚れて見えるのだ。 しかもその箱、虫でもいるのか、 触ったあとにいつもブツブツ... 続きをみる

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  • 生きる証

    そこからそこまで線を引いて いくつもいくつも線を引いて そこばかりをやみくもに 覚えていた時期があった。 ただ試験のためという 目先のことだけを考えての 単純で退屈な作業だった。 線を引いた箇所はそれ以降 何の役にも立っていない。 ところがそうやって過ごした その時期が何とも言えず懐かしい。 決し... 続きをみる

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  • 悲しきマッサージチェア

     昨日は休みだったのだが、何もやることがなかった。あまりに暇だったので、運動をした後に、嫁さんの部屋に置いてあるマッサージチェア(あんま椅子のことを今はそう呼ぶらしい)にかかった。それを使うのは今年初めて、というか半年ぶりだ。  そのマッサージチェアだが、5年程前に嫁さんの会社で従業員に斡旋してい... 続きをみる

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  • 大大

    知り合いのお子さんがこの春から 大分大学に進学するということで それはおめでとうございます。と あいさつしたのだが、その最中に 僕は素朴な疑問を抱いたのだった。 東京大学は東大、京都大学は京大 九州大学は九大と呼ばれているが 大分大学は何と呼ばれているのか? もしかして大大(ダイダイ)では。 もし... 続きをみる

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  • 砂糖が切れて

    あっっ、そうだった。忘れていた 砂糖が切れかかっていたんだった。 砂糖がなくなりかけていることに 気づいたのは一昨日の夕方だった。 「明日スーパーに行くからその時 買うことにしよう」と思っていた。 予定どおり昨日スーパーに行った。 だが砂糖を買うのはついでであり 主な目的は今日の昼飯の買出しだ。 ... 続きをみる

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  • コーヒータイム

    誕生は前世の終わり 死去は来世の始まり 子供は捻くれた大人 大人は武装した子供 青春は人生の汚染期 老いは人生の異臭期 白髪は頭髪の進化形 ハゲは人類の進化形 恋人の会話は緑茶色 愛人の吐息は紅茶色 親子の生活は薄茶色 夫婦の空気は焦茶色 一生は未来の記憶を 散りばめた一本の道 人生は未来の記憶を... 続きをみる

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  • お金の行方

     昨日は休みだった。昼間、嫁さんと近くのレストランに昼食を食べに行ったのだが、そこで高校の同級生S君にあった。彼は、高校以来の友人で、卒業後もずっと飲み友だちでいるのだが、コロナ禍があってからは会っておらず、久々の再会となった。彼は仕事でそのレストラン近くに来ていたということだった。しばらく話をし... 続きをみる

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  • 立小便

    道ばたで立小便をすれば 今の世の中だと確実に通報されて 警察にしょっ引かれていくだろう。 昔は軽犯罪ですんでいた行為も 今はいろいろな尾ひれを付けられて 聞いたことのない罪名を付けられて 世間にその名前と顔とをさらされて 人生最大の辱めを受けることになる。 だからいくら我慢出来なかったとしても 道... 続きをみる

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  • タイムマシンが出来たら

    もしタイムマシンが出来たら ぜひ利用したいと思うのだが それに関してずっと昔から 不安に思っていることがある。 それはタイムマシンを使ったら 過去にしろ未来にしろ、もちろん 今いる場所に移動するはずだが 移動した時代、もしその場所が 車道になっていたとしたら、そして そこを車が走っていたとしたら、... 続きをみる

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  • ♪心の中を

    心の中を 新谷雅先 · 心の中を いつもいつも考えることは 暮らしのことばかり 日々が通り抜けていく 風は吹く、心の中を いつもいつも同じことの 繰り返しばかり 日々が色褪せていく 時は行く、心の中を  ただ夢だけが  駆け抜けていくのを  遠く眺めてるような毎日  風は吹く、心の中を  ああ、想... 続きをみる

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  • 銀行からのメール

     先日、メールをチェックしていると、その中に銀行からのものがあった。  内容を見てビックリした。何と『入金』と書いているではないか。一瞬、給料日なのかと思ったが、給料日にはまだ早いし。というか、その口座は給与振り込みの口座ではないのだ。ではいったい、どこからお金が振り込まれたのだろう。  実はこの... 続きをみる

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  • 第1号

    白いボールは風に乗り、 どこまでもどこまでも 飛んでいった。 その行方を目で追いながら、 ダイヤモンドを必死にぼくは、 駆けた、駆けた、駆けた。 一塁を回り、二塁を回る。 このまま一気にホームを駆け抜けろ。 と思っていたら、 三塁にかかったところで、 外野がボールに追いついた。 どこまでも飛んだは... 続きをみる

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  • 忍術千一夜

    1, 忍者というと姿を消してみたり、 新幹線よりも速く走ってみたり、 屋根に軽々と跳上がってみたり、 天井に長時間貼り付いてみたり、 石に化けたり、壁と同化したり、 いろんな不可能をやってくれる。 もしオリンピックに出場したら、 間違いなく金メダリストだろう。 2, 実際忍者と呼ばれていた人達は、... 続きをみる

  • ちょっとした発見

    1、 昨年ちょっとした発見をして、 現在研究しているところです。 なにを発見したのかというと、 ぼくが歴代好きになった人の 名前です。同じ系列の画数が 全ての人に入っていたのです。 2、 その数というのが四柱推命で ぼくの最高吉星となる数字だ。 けっしてその数字があるから その人に惹かれた訳ではな... 続きをみる

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  • 霊験

    霊験に霊験を重ねていくと 霊験は霊験でなくなっていき 当たり前のことになってしまう。 ここからが分岐点になる。 当たり前のことなんだと思い 霊験を捨ててしまう人がいる。 一方でその当たり前のことをも 霊験だと信じて感謝する人がいる。 そのどちらもそこからの人生を 歩んでいくわけだが、 不平不満の人... 続きをみる

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  • その時間を通り過ぎる

    ダラダラと歩道を歩いていると 顔見知りのじいさんが向こう側にいた。 声をかけられると話が長くなる。 幸い相手は気づいてないみたいだから ぼくは手に持ったスマホに目やり さも急いでいるふりをしながら サッサとその時間を通り過ぎた。 再びダラダラ歩いていると 学校帰りの小学生に出くわした。 今時のガキ... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」3

     ところで、高校1年時の夏休み以外にも、ぼくはショックを受けたことがある。それは、再び「おじちゃん」と呼ばれたことではない。もっと先を行っていたのだ。  5年ほど前だったろうか、ショッピングモールの中でそれは起こった。  嫁さんが買い物をしている最中、ぼくは暇をもてあまし、そこにあったテレビを見て... 続きをみる

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  • 朝の吟遊詩人たち

    始発バスも来ない時間から、 窓の外にある公園に、ぞろぞろ 吟遊詩人たちが集まってくる。 彼らは大声を張り上げながら、 その存在を主張する。 疲れ果てた人の耳には、 季節と自然に調和した 心地よい音楽に聞こえるも、 這い出たばかりの虫たちには、 死神の雄叫びに聞こえている。 彼らの歌に興奮したのか、... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」2

     さて、その後は「おじちゃん」などという忌まわしい言葉で呼ばれることは、ほとんどなくなった。それは、頭が真っ白になった今でもそうだ。  まあ、たまにそう呼ぶ人がいないではないが、そういう人たちは、ぼくのことを何と呼んでいいかわからずに「おじちゃん」と呼んでいるのだと思う。愛称として「おじちゃん」と... 続きをみる

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  • 心がけ

    「これを落としそうな気がする」 そう思った時は決まってそれを どこかに落としている。だから 「これを落としそうな気がする」時は 「これを必ずポケットに入れる」と 自分に言い聞かせるよう心がけている。 ところが「これを落としそうな気がする」時 ぼくはいつもいつもいつもいつも 「これを必ずポケットに入... 続きをみる

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  • 「おじちゃん」1

    「おじちゃん」  ぼくに対してその言葉が初めて使われたのは、高校1年の夏休み、ちょうど横須賀の叔父の家に遊びに行っていた時のことだった。当時叔父の家には風呂がなかった。そのため、叔父の家に滞在中は毎日銭湯に通ったものだ。  そんなある日のこと、その日は叔母といっしょに銭湯に行っていた。先にぼくが風... 続きをみる

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  • 思っているほど

    思っているほど男は強くない 思っているほど女は弱くない 思っているほど過去は近くない 思っているほど未来は遠くない 思っているほど一日は短くない 思っているほど一年は長くない 思っているほど動物は馬鹿じゃない 思っているほど人間はかしこくない 思っているほど休みは楽じゃない 思っているほど仕事はき... 続きをみる

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  • 言葉をつま弾く

     中学の頃フォークブームというものがあった。例えば吉田拓郎さんの『イメージの詩』のように、自分で言いたいことを曲をつけて語る、という新しいスタイルが登場したのだ。  そういうブームに触発されて、曲はともかく、言いたいことを書くだけなら何とかなるだろうと、ぼくは言葉の挑戦を始めた。それがようやく形に... 続きをみる

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  • ♪昨日までの生きざま

    昨日までの生きざま 新谷雅先 · 昨日までの生きざま 夜は明けて 日は昇り 雲は隠す 鳥は鳴き 風は吹き 今日でお別れ また街は揺れる いつものように 人は声もかけず 忘れたふり 空は泣き ぼくは泣き 涙は尽き くたびれた靴が この街の想い出 この道は いつもの道 歩き慣れた 傘もなく びしょぬれ... 続きをみる

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  • 浪人時代

    退屈さがしみてくると また悪魔たちがやってくる 昼夜かまわず生ぬるい風が 声を上げながら吹きすさぶ ―いやいや将来が楽しみなお子さんですぁ  これから渡る社会という荒波を前にして  お子さんは動かずして戦略を練ってらっしゃる  なかなかの大物じゃないですか、おかあさん ―いやいやそうじゃないんです... 続きをみる

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  • なごり雪

    昭和五十五年三月某日、 国鉄新宿駅のホームには 冷たい雪が降っていた。 東京時代を共に駆け抜けた友人との、 その日が最後の一日だった。 いつものように 歌舞伎町でパチンコをして、 いつものように 駅のホームで別れたのだった。 「なごり雪か・・・」 「こういう時って、 本当に雪が降るんだな」 それが... 続きをみる

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