夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

遠くでカンコン

遠くでカンコン、

踏切警報機が鳴っている。

いつの頃からだろうか、

夜中の警報機は、

犬の遠吠えのように

むなしいものになった。


むかしはカンコンに旅情を誘われ、

いつも夜汽車の中にいる自分を

想像していたものだった。

ところが、

この時代は夜汽車がない。

味気のない新幹線が

企業人の時間帯に合わせて

行ったり来たりしているだけだ。

夜中に停車駅で買う

ほの温かいワンカップの楽しみも

今はなくなった。


遠くでカンコン、

踏切警報機が鳴っている。

いつも春になると、

どこかに行ってみたいと思う。

だけど、味気のない現実が、

旅への期待を拒んでしまう。

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