夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

1980年3月

九州に戻った1980年3月末、
中々職が決まらず苦労していた。
前年就職口を決めていたのだが
どうも行く気が起きずに断った。
代わりの企業を探したんだけど
これといった所が見つからない。


当時は就職情報誌の数も少なく、
さらに東京のそれとくらべると
こちらのは遥かに薄っぺらくて
情報もちょっとしか載ってない。
仕方なく職安を頼ることになる。


職安で「資格は持っていますか」
と聞かれたので「日商簿記」と
答えると「ここはどうでしょう」
と駅の真ん前のビルの中にある
会社の事務職を紹介してくれた。


会社には頭のハゲた所長がいた。
彼は開口一番「事務だ?うちは
事務の募集なんかやってないぞ。
誰からそんなことを聞いたんだ」
と偉そうにのたまうではないか。


「職安から聞いてきたんですが」
「だから事務は取ってないから」
話が噛合わない。挙句にハゲは
「きみは一体何をしにきたんだ」
とえらそうに説教を始めたのだ。
ハゲの説教はクドクドクドクド
二十分以上にも及んだのだった。


数年後そのビルに行ってみると
すでに会社はなくなっていたな。
きっと潰れたんだろう。あんな
人間が所長を務める会社じゃね。
そんな所に入らなくてよかった。

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