ドクロ裁判 他
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『ドクロ裁判』
世間があなたを善と認めたとします。
いい人ですよ。近所付合いもいいし。
この人が悪なんて絶対にありえない。
大勢の声があなたに味方しています。
しかしわたしはあなたを善としない。
なに故にそう言切れるのかというと、
わたしはあなたにとって絶対的存在、
それ故にあなたは善ではないのです。
あなたはいつも人の後に隠れている。
あなたは汚れる仕事をしたがらない。
基本的に働かない方向に歩いている。
そう言われると心が動いたでしょう。
強がっていても見えているんですよ、
わたしにはあなたの心の動き全てが。
では、あなたに判決を言い渡します。
心の終身刑です。一生悩んでなさい。
─この判決後、この世に送り込まれた私は、いつも悩んでいるのでございます。
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『お留守』
おかあさんは猫のサークルに
おとうさんは狸の飲みごとに
夜はだーれもおりませんです
空しく灯がついてるだけです
─西岸良平さんの世界が好きです。『鎌倉ものがたり』をヒントに、ちょっと書いてみました。
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『性格悪い』
このバイパスで洗礼を受けたことのない車が、
調子に乗ってドンドンぼくを追い抜いていく。
何も知らんバカ共め。みんな捕まってしまえ。
と、ぼくはスピードを気持ち上げてみるのだ。
─3号線バイパスの話ですが、いつも覆面パトカーがいるのです。ぼくは二度、スピード違反で切符を切られました。
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『歳』
待ち望んだ歳は中々やって来ない。
たとえば二十歳の時がそうだった。
望まない歳はさっさとやって来る。
たとえば六十歳の時がそうだった。
─ということです。
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