ためいき
『ためいき』
さりげないためいきをやめて
今日から真面目にやっていくんだ
昨日吐いたあの言葉に
嘘や偽りはないんだから
そしていつか見返してやるんだ
あいつも、あいつも、みんなまとめて
あの日のぼくは正しかったんだと
それがぼくの人生だったと
もう振り返らない 風は追い風だ
尽きることはない
もしもつまずくことがあったとしても
明日のための布石なんだ
疲れたふりなんかやめて
今日から素直に生きていくんだ
ほら明日が笑っているよ
その日の自分が手招きしている
48歳の時、ぼくの所属していた部署が閉鎖になった。ぼくは専門職で雇われていたため、つぶしが効かないと判断され、リストラの対象となり、そのまま会社を退職することになった。
それからおよそ一年間、表向きには失業保険をもらいながら、ハローワーク通いをやっていたのだが、その裏では、充分に時間が取れるので、『こんなチャンスはない』と思って、エッセイを書いたり、詩を作ったり、歌を作ったりしていた。仕事のない不安や焦りなど一切なく、前向きだったのだ。
その時に書いた詩やエッセイを、投稿したりしていたのだが、結果的には何も得るものはなかった。とはいえ、じつに充実した一年だった。それからぼくは、今の仕事に移った。
冒頭の詩は、前向きになる少し前、会社を辞めたばかりの時期に書いたものだ。
辞めてからしばらくは、ぼくを自主退職させようとして色々な工作を仕掛けてきた会社に憤りを感じていた。しかし、この詩を書いてから後は、「所詮その程度の会社だったんだ。辞めて正解だった」と思うようになり、気持も安定し、前向きになることが出来たのだった。
なお詩の中の「布石」だが、何も言葉が思い浮かばなかったので、『あしたのジョー』のセリフに出てくる言葉を使わせてもらいました。