夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

逆遣唐使

 我が国は、平城京の昔から、技術や文化を提供するために唐の国に指導員を派遣していた。二百年以上かけてそれらを吸収し習得した唐政府は、
「我が国に遣唐使は必要なくなったから、引き上げてほしい」と、平安京政府に要請してきた。


 その時に対応したのが、遣唐大使である菅原道真だった。彼は、
「日本が引き上げたら、貴国は大変なことになりますぞ」と言って要請を断った。しかし唐側はそれを無視し、遣唐使を追い返してしまう。


 遣唐使がいなくなりセーブの効かなくなった彼の国は、現在の大気汚染やコロナ禍と同じような国難に直面してしまう。それが原因で国が乱れ、三百年近く続いた唐は滅亡してしまった。遣唐使廃止から十三年後のことだった。


 現在、多くの中国人観光客が、縁もゆかりもなさそうな太宰府天満宮に訪れているが、案外「もしあの時、菅原道真の言うとおりにしていたら」という後悔が、今も中国人の意識の中に残っていて、唐代末期と似た現状を、菅公にお参りして救ってもらおう、と思っているのかもしれない。

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