夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

青春のスクイズ

きっとあいつは走ってくる。

砂煙を上げ滑り込んでくる。


ベンチはヒッティングから

スクイズサインに切替えた。

ベース上で土を払っている

あいつの目に覚悟が見えた。


1点ビハインドの九回の裏

あいつを生還させなければ

この一戦が引退試合になる。

優勝なんて望んでないけど

出来ることなら一試合でも

多く野球をしたい。これが

チームみんなの思いなのだ。


だからあいつは走ってくる。

砂煙を上げ滑り込んでくる。


ピッチャーがこちらを向き

投球モーションにはいった。

同時にあいつが走り出した。

球が外に大きくそれていく。

バットがそれを追っていく。

球はミットの中に収まった。


後戻れないあいつの勢いが

ホームに滑り込んできた──

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