夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

同窓会の思い出

 ずいぶん前の話だが、高校の同窓会に参加した時に、担任の先生が登場したことがある。頑固な先生だったが、そんな先生ほど生徒の心に残っているのだろう、割れんばかりの拍手をもらっていた。


 その担任とは色々ないきさつがあり、ぼくは無視を決め込んでいたのだが、友人が何度も、

「先生がお前に会いたがっとるぞ」と誘いに来る。それを聞いてぼくは、

「会いたがっとるわけないやないか。それに何十年経ったと思っとるんか。先生が憶えとるわけないやろ。行っても無駄」と言って断る。

「先生がお前を忘れるわけがないやろ。お前が一番先生に迷惑をかけたんだから、挨拶してこい」と友人は譲らない。

 結局根負けしたぼくは、渋々先生のもとに挨拶に行った。


「先生お久しぶりです」

「ああ、お久しぶりです」

「ぼくのこと憶えてますか?」

「はい、憶えてますよ」

 このやりとりで、ぼくは『これは憶えてないな』と思った。だいたい憶えているくらいなら、「はい、憶えてますよ」なんて他人行儀な敬語は使わんでしょう。そんな仲じゃなかったですよね、先生。


 あの日は、高校時代に好きだった女子が来なかったことも重なって、ちょっと寂しい同窓会だった。

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