夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

1973年

 1973年、ぼくが高校一年だった年だが、この年の冬はえらく寒かった憶えがある。

 凍結した坂道で思いっきりこけて冷たい道の上に叩きつけられたことも、粉雪混じりバス停で痛みすら感じながらじっとバスを待っていたことも、好きな女の子にふられた夜に吹きざらしの街を一人歩いて帰ったことも、その年の主な思い出はみな冬のものだ。おまけにオイルショックがあったりして、気候や私事だけでなく世の中も寒かった。


 そういえばその年一番売れたレコードは、井上陽水の『氷の世界』だった。

 あのレコードの持つイメージは、アルバムのタイトル通り冬だ。中に春や夏の歌もあるけど、アルバム全体を冬の雲が覆っている。その年ぼくはそのレコードを、何度も何度も聴いたものだった。

 ぼくが1973年を寒く憶えているのは、もしかしたらあの陽水のアルバムの影響があるのかもしれない。

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