夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

狭い狭い谷間の町

すすけたような灰色の雲が

まだらな雨を落としだすと

ぼわあ・・ぼわあ・・ぼわあ・・

この狭い谷間の街を目指し

つや消しした蒸気機関車が

白い黒い煙を吐いて、体を

揺らしながらはいってくる。


行き交う人の姿は傘に隠れ

男女の見分けすらつかない。

その中を傘をささぬ紬女が

何か叫びながら歩いている。

だけど機関車の大きな声は

ぼわあ・・ぼわあ・・ぼわあ・・

女の叫びをかき消していく。


ありし日の昭和の雄叫びが

この狭い谷間にある街駅の

かすれ行く記憶の内側から

ぼくの中でこだましている。

ぼわあ・・ぼわあ・・ぼわあ・・

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