夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

学園通り

1,
その高校は市の中央にそびえる
山の中腹に建っている。バスを
麓で降りて、そこからは歩いて
狭く長い坂道を登ることになる。
春や秋は様々な花が咲いていて
長い坂を忘れさせてくれるけど
夏や冬はその坂道が地獄と化す。
夏は所々の急な勾配と陽射しで
朝から汗まみれになってしまう。
冬はさらに酷くて、雪が降ると
坂は凍結してしまい、ちょっと
バランスを崩すと転んでしまう。
だからだろうか、女子の制服の
スカートは他校よりも少し長い。


2,
通りは朝方と夕方は生徒たちの
行き帰りで賑わっているものの
それ以外の時間帯は付近に住む
お年寄りが歩いているくらいで
人を見かけることはあまりない。
だから学校を抜出ても住民から
通報されることはほとんどない。
ただお年寄りも男女交際だけは
敏感で、おたくの生徒が通りで
いちゃいちゃしてましたぞとか、
バス停でキスしてましたぞとか
通報してはことを荒立てている。


3,
その坂道の一つ向うの通りには
江戸期の有名な上人が建てたと
言われている寺が存在している。
そのため通りは門前町風造りで
山門前まで商店が連なっている。
その近くにあられ工場があって
終日その香りが街を覆っている。
その香りに包まれて生徒たちは
急な坂をダラダラと登っていき、
その香りに包まれて生徒たちは
坂をいちゃいちゃと下っていく。

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