夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

信号待ち

 ここの赤信号はえらく長く感じる。まだ二、三分も経ってないはずなのに、もう三十分以上も停まっているような気がする。きっとさっきから本線に車が通ってないので、そう感じるのだろう。
 こんな時、ぼく以外の人はどういう行動を取るのだろう。信号を無視して発進するのだろうか。それともぼくと同じように、イライラしながらも待つのだろうか。


 それにしても長い。さっきまで遠くを歩いていた人が、もうそこまで来ている。おそらくこの人はぼくが発進する前に、ここを通り抜けるだろう。


 そういえばもう変わってもいいはずなのに、信号はまだ点滅もしない。まさか故障しているのでは、と考える。だけどこの信号にさしかかる前までは、ちゃんと青だった。赤に変わったのは停止線の五メートルほど手前だった。もう少しスピードを出していれば、ここでイライラしなくてもすんだはずだが、その時はこの信号が、こんなに長いものだとは思ってもみなかった。


 もしかしてこれは今日の運の悪さなのだろうか。いやいや、そういうふうに考えてはならない。最近はこういう場合、いいことが起きる前触れだと思うようにしている。
 例えばぼくは今も夢を持っているわけだけど、この信号待ちも実はそこに繋がる布石なんだ。この一秒一秒がいい巡り合わせに向かっているのだ。
 もちろん、信号待ちとぼくの夢とは直接的には何の繋がりもない。だけど長い人生から見ると意味のあることだと、最近のぼくは思うようにしている。


 ところで今日の仕事は何だったろう。あのことはすでに終わっているし、特に今日はやることなんかないじゃないか。
 ん、待てよ、今日は休みじゃなかっただろうか。いや、休みは昨日だった。では今日の仕事は何なんだ。まさか、あそこに行けと言うんじゃないだろうな。今日は休み明けだから、あまり人と喋りたくない。やっぱり今日は休みがいい。いっそ休んでしまおうか。だけど有給休暇は取っておきたいし・・。


 ああ、それにしてもこの信号は、まだ変わらないのか。

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