夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

悔しい!

 この間、買い物に行った時の話だ。
 あるものを買おうと思って財布の中を覗いてみた。が、少し足りない。そこで、その店に設置してあるATMにお金を出しに行った。


 そこに行ってみると、おっさんがお金をおろしていた。まあ、おっさん一人だけだったので、すぐに終わるだろうと思い、後ろに並んでいた。ところがおっさん、何をやっているのか、なかなか終わらない。
 それを見てぼくは、他のことをすませてからにしようかと思った。ところが、いつのまにかぼくの後ろには4,5人の人が並んでいるではないか。ここで列を離れるのもシャクである。ということで、おっさんが終わるのを待つことにした。


 10分ほど待っただろうか、ようやくおっさんは中から出てきた。さっそくぼくは中に入った。ところが、一瞬動きが止まってしまった。ツンと鼻を突く臭い。
「うっ、これは…!」
 ワキガの臭いだ。おっさん、ワキガ持ちだったのだ。それはそれは強烈な臭いで、臭いが収まるまで外に出ていようかと思ったほどだった。しかし、後ろにはさっきよりも多くの人が並んでいる。しかたなく、そのまま息を止めてお金をおろすことにした。


 こういう時は機械の動作が遅く感じるものだ。1分もかからない処理が、ぼくには5分以上かかっているように思えた。息苦しくなってきた時に、ようやくお金が出てきたので、ぼくはそれを手にとって、さっと外に出た。


 続いて、ぼくの後ろに並んでいた女性が中に入った。ぼくは外からその女性が、その時臭いをかいで、どんな顔をするかを観察した。
 すると、案の定女性の顔は曇った。まるで、猫に歯磨き粉をにおわせた時のような顔をしている。それを見てぼくは、「ククク」と笑いを抑えながら、店の中に入っていった。


 そのあとのこと。お目当ての商品を手に持ってぼくがレジに並んでいると、後ろの方に人の気配がした。振り返ると、そこには先ほどの女性がいた。ぼくと目が合うと、その女性はキャッシュコーナーで見せたような、少し曇った顔をした。そして、そそくさと他のレジに並んだのだ。


 どうやらこの女性は、臭いの根源をぼくだと思っているようだ。
「おいおい、おれじゃないぞ」と言いたかったが、相手が何も言ってないのにこちらから弁明するのも何だと思い、黙っていた。しかし、そのままワキガ男と思われると思うと、やりきれない気持ちがする。そこで、精算が終わったあと、わざとらしくその女性の横を通ってやった。
 無視された。

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