夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

赤いエプロン

『赤いエプロン』


 就職をした頃のこと

 職場の掃除をやっていると、

 後ろから「すいません」という

 小さな声が聞こえた。


 振り向くとそこにいたのは、

 初めて見る同期の女性。

 その時突然ぼくの目に、

 浮かんだ一つの光景…


  赤いエプロンを着けて、

  台所の向こう側で、

  笑顔でうなずきながら、

  料理している彼女の姿。


 その時はただの疲れだと、

 気にもとめなかったけれど、

 なぜか偶然が重なって、

 二人はつきあい始めた。


 その後ぼくたちは結ばれ、

 二人で生活を始めた。

 居間でくつろぐぼくの目に、

 映った一つの光景…


  赤いエプロンを着けて、

  台所の向こう側で、

  笑顔でうなずきながら、

  料理している彼女の姿。


 出会った頃は疲れだと、

 気にもしてなかったけれど、

 あのとき浮かんだ光景は、

 未来の一コマだった。


  赤いエプロンを着けて、

  台所の向こう側で、

  笑顔でうなずきながら、

  料理している彼女の姿。


 今もぼくたちは二人で、

 ありふれた生活をしている。

 テーブルのイスにさりげなく、

 掛かる赤いエプロン。

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