夢の中の住み家
四方を和ダンスに囲まれた
六畳ばかりの窮屈な部屋に
花柄の布団が三つ敷かれている。
ちょうど西側に当たる所かな
タンスとタンスのちょっとした隙間に
黒い仏壇が置いてあるのだが
そのせいで部屋は少し線香臭い。
ふすま一つ隔てた隣の部屋は
台所と続きになっている和室だ。
古いやぐらこたつが置いてあり、
ミカンの皮、お菓子の食べかす、
開いたままの女性週刊誌などが
天板の上に散乱している。
女性ばかりが住んでいるのだというが
あまりきれいだとは言えない部屋だ。
ある日ぼくは、その少し汚れた部屋を
夢の中の住み家にすることにした。
それ以来、夢に疲れるといつも
ぼくはその部屋でくつろいでいる。
だけど、その部屋に入る時は
だいたい起きる寸前だから
あまり長居ができない。