夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

ワンダースリー

ぼくは結婚するまでに三人の女性を愛した。
実はその三人目とつきあった時に
彼女たちがこの星の人間でないのではないか
という疑問を持った。
三人ともどことなく似た顔をして
どことなく似た仕草をしていた。
ぼくはまずそこがおかしいと思った。
さらに彼女たちが、微妙に
地球人離れした考え方を持っていたことで
ぼくの疑問は深まった。


ただぼくはそのことを自分の中で
認めようとはしなかった。
認めてしまうと
ぼくの持った彼女たちへの愛情が
純粋なものでなくなると思ったからだ。
つまり彼女たちに操られて、ぼくは
愛情を抱かされていると考えたくなかったのだ。
それはあまりに辛いことだし
あまりに悲しいことだ。
だから疑問は疑問として留めておいた。


とはいえ疑い出すと切りがない。
つきあっていくうちにだんだん
顕著になっていった彼女たちの冷たさは
実はそういう態度を取った時に
地球人がどういう行動を取るのかという
分析をしているためではないだろうか。
追えば追うほど離れていったのは
実はこちらの愛情の深さの究極を
見極めようとしてやっている
実験ではないだろうか。


やはり奴らは宇宙人なのだ。ある時
ぼくはとうとうそのことを認めた。
その瞬間だった。三人目の彼女は
ぼくの目の前から忽然と姿を消した。
同時にぼくの愛情の記憶も消されたのだ。
その後彼女たちがぼくの前に現れたことはない。
その時ぼくは中年と言われる年頃になっていた。
だけど人を愛することは諦めなかった。
それが良かったのか、ほどなく結婚した。
もちろんお相手は地球人だ。

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