夢のいたずら

若い頃に描いた夢が、このブログに連れてきてくれました。人生まだまだこれからです。詩とエッセイを中心に書いています。

矛盾

 ぼくはどちらかというと、物事をコツコツとやることが好きだ。昔会社でよくDMの封入作業をやっていたのだが、その際、多くの人たちは、そこに入れるチラシを、要領よく十枚ほどまとめて折り畳んでいた。だけどぼくら一部の人間は、それを好まなかった。それをやってしまうと、仕事に気持ちがこもらないように思えたのだ。


 そこで一枚一枚を、丁寧かつ迅速に折り畳むことを心がけて作業した。確かに、要領よくやれば作業は速く進むと思われる。ところが不思議なことに、そうなることはめったになかった。終わってみると、同じ量を同じ時間にやり終わったのだ。時には、こちらの方が早く終わることだってあった。


 理由は簡単で、相手は適当に折っているものだから、封入する時に入りにくくなり、時間を食ってしまったわけだ。逆にこちらは丁寧に折っているから、封入がすごく楽だった。しかも彼らは、初っぱなから手を抜いてやっているわけだから、すべてがダラダラと進行するのだ。


 さて、ぼくたちはコツコツやったことで、仕事をやり遂げた充実感を味わえて、そのことで気分が爽快になることを知ることが出来た。これが現在、人生において貴重な財産となっている。


 ところでその会社は、コツコツ組が辞めたあとに潰れてしまった。残ったダラダラ組がどうなったかというと、実はその要領の良さで親会社に拾われ、今はいい暮らしをしているという。

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